海原を漂うような微睡みの中で僕は悟った
このままいられたら心地いいけど そういうわけにはどうもいかないんだろう
寝ぼけまなこ擦りながら 起き上げた体がやたらと重い
あくびが一つぽんと零れ落ちた ついでに一粒涙が落ちた
扉を開いて崩れ落ちた夜 何処かで時計の針が止まった
きっと与えられすぎていて 気にも留めず生きてきたんだ
茶碗にいっぱいの愛情 愛故に止まない忠告も
決して当たり前ではないと何故に気づけずにいたんだろう
いつか手をひかれ歩いた あの時に戻れたなら
懐かしい匂いに瞼を開いた 刹那にこれは”夢”だと悟った
寝床を抜け出して台所へと そこには変わらない朝餉の景色
そうだ 与えられすぎていた 僕は何を返せるのだろう?
テーブルには所狭し 愛情が敷き詰められていて
美味しいかと尋ねるあなたを思わず抱き締めたのだけれど
ここぞという時に限って言葉は胸の奥つかえるんだ
ずっとこうしていたいけれど やがて時計は動き出してしまうんだ
朝の光は切なくて またしても僕は泣いた